パウダーをすべった時のあの感覚が忘れられない・・・。
『バックカントリーをはじめよう!』
と思った時に、スノーシューを利用するのか、スプリットボードを利用するのかの選択肢からまずはどちらかを選ぶこととなります。
どっちにするかをご検討中の方、そしてお悩みの方、それぞれのメリット・デメリットをご紹介しますのでご参考にしてください。
スノーシューでバックカントリー
スプリットボードが今ほど普及していなかった一昔前までは(!?)、スノーシューでバックカントリーをするのが定番。
予算や手軽さが一番の理由かと思います。
スノーシューのメリット
スノーシューでバックカントリーを楽しむことのメリットは。
- 道具が安い
- 板の選択肢が多い
- 板が割れていない(滑走性能が高い)
- 歩くのが簡単
- レンタルも容易
道具が安い
スノーシューと折りたたみポール(ストック)を新品で購入する場合の費用はおおよそ50,000円程度。スプリットボードより圧倒的に安くすみます。
・スノーシュー(登坂用): 新品価格25,000円〜40,000円程度
・ポール(ストック): 新品価格10,000円〜20,000円程度
バックカントリーを始めるにあたっては、バックパックや雪崩レスキューギア(ビーコン、プローブ、ショベル)の購入も必要となります。
スプリットボードと比べて圧倒的に予算が少なくすむというのが一番の魅力です。
仮にスノーシューとポールに加えて、バックカントリー用の板としてパウダーボードやオールマウンテンフリーライドの板を新調するとしてもスプリットボード一式を購入するよりは安く済むと思います。
板の選択肢が多い
スノーシューでバックカントリーを楽しむ場合、特別な板は必要ありません。一般的な板をそのまま使えます。
現在スキー場で使っている板をそのまま使えば予算を抑えられますし、多くの選択肢から選ぶことができるため自分の好みにあった板を容易に見つけられます。
板が割れていない
スノーボードの下手っぴな僕などは、山で柔らかい雪をすべっているとスプリットボードの『板の割れ感』は全くといって良いほど感じませんが、うまい人は気になるかもしれません。
ソリッドボード(通常タイプの板)を使えば、もちろんそれはまったくありません。
歩くのが簡単
スノーシューは、はいて歩くのに特別な技術や練習、慣れはほとんど必要ありません。
歩くのに技術面で苦労するということはおそらくないでしょう。
レンタルも容易
スノーシューのレンタルは容易です。
レンタルの事業者は多数あり、当店でもバックカントリーで使用できるスノーシューのレンタルを行っています。
また、スノーボーダーを受け入れるガイド、あるいはガイドカンパニーのほとんどでスノーシューのレンタルを用意していると思います。ひとまず道具を購入せずにバックカントリーを楽しむことができます。
スノーシューのデメリット
スプリットボードと比較したスノーシューのデメリットをご説明します。
- 移動スピードが遅い
- すべりで背中が重い
- 木の枝が煩わしい
移動スピードが遅い。
スノーシューでの移動は、以下の理由から行動スピードが遅く山でのリスクを増大させます。
また、行動範囲をせばめるため必然的に、すべりたい山すべりたい斜面の選択肢が少なくなります。
さらに、スプリットボーダーやスキーヤーとの移動スピードの違いから、ガイドやバックカントリー仲間からの参加制限を受けることがあり、行けるBCトリップの選択肢を狭めます。
足が沈む。
雪が柔らかくて深い時、すなわち滑走にとって良いコンディションの時ほど歩行時に足が沈みます。
足が沈みながら歩くことの大変さは未経験者には想像しにくいかもしれませんが、スノーボードのブーツのみのつぼ足で深雪を歩いた時の大変さを思い出してください。
スノーシューをはくことでつぼ足と比べて圧倒的に楽になりますが、スプリットボードではさらに圧倒的に楽になるため、スノーシューでの歩行はスキーやスプリットボードと比較して疲労度がはんぱないです。
歩きで背中が重い
スノーシューを履いて歩くときには、板をかつがなければなりません。板とバインディングを合計した重さは大体4〜5kg。
板を背負わないスキーヤーやスプリットボーダーに比べて、圧倒的に不利です。
すべりで背中が重い
滑走の際には、スノーシューをバックパックにつけて担ぎます。バックパックを背負うだけで慣れていない人にとっては滑走がしにくいもの。スノーシューも背負って重量が増せばなおさらです。
木の枝が煩わしい
個人的に、スノーシューで一番煩わしいのが板を木の枝にひっかけること。板をひっかけないよう枝をくぐるために使う労力は想像以上に大きなものです。
予期せず枝をひっかけて転んだり、枝をくぐるために時にはいつくばって雪まみれになる姿勢の屈辱さもさることながら、余計な体力を奪われ精神的にもきついです。。
スノーシューはこんな方におすすめ
以下のような方には、スノーシューでのバックカントリーをおすすめします。
・すべりにこだわりがある。
・手軽にバックカントリーをはじめたい。
・頻度が少ない。(年に1〜3回程度)
・予算をできるだけ抑えたい。
・短時間の歩行行ける近い場所で楽しみたい。
・まわりにスノーシューの人が多い。
バックカントリーに適したスノーシューのご購入はこちらからどうぞ。
スプリットボードでバックカントリー
今や爆発的な普及をみせているスプリットボード。愛好者や道具の選択肢が増え、山で見かけるのも全く珍しくなくなりました。
ほとんどが、スノーシューでバックカントリーを楽しんでいた方からの切替ですが、最近ではスプリットボードでバックカントリーを始める方もたくさんいらっしゃいます。
スプリットボードのメリット
スプリットボードでバックカントリーを楽しむことのメリットなんといってもこれにつきます。
- 登り、歩きの移動がラクで楽しい。
スプリットボードのメリットは圧倒的な登り、歩きのラクさ。スノーシューと比較して驚くほど少ない労力で山を移動することができます。
バックカントリーへ行くと、1時間登って滑走は5分、5時間登って滑走は20分なんてこともざらです。
つまり、バックカントリーでの行動時間のうち90%以上が登り。この登りで労力を少なくすることこそがバックカントリーを楽しむ最大のポイントだと個人的には思います。
また、移動のスピードが早いという点は、山での危険回避の可能性をあげてリスクを軽減し、より遠くの滑りたい斜面へのアクセスを可能にし、行けるバックカントリートリップの選択肢を飛躍的に増やします。
それではなぜ、そんなに登りや歩きがラクなのかご説明します。
・歩きで背中が軽い。
・足がしずみにくい。
・足をひきずれる。
・下りで歩かなくて良い。
・平地でストライドが伸びる。
・木の枝をくぐらなくて良い。
歩きで背中が軽い
スノーボードを担がなくて良い分、背中がかなり軽いです。
加えてスノーボードは長さがあるため遠心力によって重量の数値以上に体に負担がかかり、バランスも崩しやすく、風の影響も受けやすいため消耗するエネルギーにかなりの差が出ます。
足が沈みにくい
スノーシューと比較すると、スプリットボードの方が面積が大きい分圧倒的に浮力が高く足が沈みません。
足が沈まないことで相当な体力をセーブすることができます。
滑走時の浮力が高い、幅の広い板ほど歩きの浮力も高いといえます。
足をひきずれる
スプリットボードでは、足がしずみにくく先端がそりあがっていて板の裏が平らで雪面をすべらせることができるため、板をひきずったまま歩くことができます。
足をいちいち持ち上げないため足、特に太ももへの筋肉の負担が少なくラクに歩くことができます。標高差が高く、長い距離になるほど顕著に差が現れます。
ロッカー形状で、ノーズがそっている板ほどひきずりやすいです。
下りで歩かなくて良い
スプリットボードなら、クライミングスキンをつけたままでも下りですべることができるため、体力も筋力もセーブできます。
ハイクアップでアップダウンの多いルートほど、下りでも歩かなければならないスノーシューとの差がつきます。
平地でストライドが伸びる
スプリットボードなら、スケーティングができるため平地でストライドがかなり伸びます。
一歩の歩幅が大きくなるため速く移動できます。
木の枝をくぐらなくて良い
板をかついでいる時と比較して、木の枝をくぐることがかなり少ないためエネルギーのロスを減らすだけでなく、歩くラインの選択肢が増えます。木の枝を気にせず最短距離のライン取りができます。
すべりで背中が軽い
また、スプリットボードならスノーシューを背負う必要がないぶん背中が軽くなり、すべりへの影響も減らせます。
スプリットボードのデメリット
スプリットボードにもデメリットはあります。
- 道具が高い
- 板の選択肢が少ない
- 板が割れている
- 歩くのに慣れが必要
道具が高い
スプリットボード一式を、特価品やセールなどをのぞいた通常の価格で購入すると15万円は必要となります。
スノーシューと比べて10万円ほど予算を多めにみなければなりません。
道具の選択肢が少ない
年々スプリットボードを販売するメーカーが増えているとはいえ、ソリッドボードに比べると選択肢が少ないのは否めません。
特にグラフィックにこだわる方は気に入ったスプリットボードが見つからないかもしれませんね。
また、スプリットボードに使えるバインディングは種類が限られます。
板が割れている
近年は、板を接続するクリップやフック、あるいはバインディング本体の性能があがっており滑走時の板の割れを感じにくくなってはいますが、スノーボードの経験が長く技術の高い方ほど、感覚が鋭く板が割れていることへの違和感を感じるかもしれません。
ただ、プロのライダーでもパウダーならまったく気にならないという方もいます。
個人的には、よほど神経質でなければ気にしなくても良いよういに思います。
歩くのに慣れが必要
ハイクアップで圧倒的にラクなスプリットボードですが、それもスプリットボードでの歩きに慣れたうえでのこと。
板の裏にクライミングスキンを張って歩くには、いくらかの練習による技術の習得と慣れが必要となります。
頻度が少ない方ほど慣れるまでに時間がかかります。
スプリットボードはこんな方におすすめ
以下のような方には、スプリットボードでのバックカントリーをおすすめします。
・たくさんバックカントリーに行きたい。
・いろんな山、いろんな斜面に行ってみたい。
・体力がない男性や女性。
・登山も楽しみたい。
・バックカントリーを楽しむ仲間にスキーヤーが多い。
・メカ好き
・負けず嫌い
・お金持ち